近代文学は、電話をどのように描いてきたのか?
一対一でプライベートに交わされることの多い電話は、その性質上、記録が残りにくい。しかし、文学は物語の中で電話を豊かに描いてきた。
電話事業が開始された明治期から、固定電話が普及する昭和戦後期の文学作品を、電話に着目して読み直す。
1 文学における電話前史 ──遅塚麗水『電話機』に描かれた電話
2 「受話器」という比喩 ──夏目漱石『彼岸過迄』の敬太郎を通して
3 「満洲国」内における電話の一考察 ──日向伸夫『第八号転轍器』、牛島春子『福寿草』から
4 占領期における電話空間 ──安岡章太郎『ガラスの靴』に描かれた破局
5 「電話の声」と四号電話機の影響 ──松本清張『声』とその前後の推理小説
6 電話社会のディストピア ──星新一『声の網』に描かれた未来社会
7 電話に付与される場所性 ──中上健次『十九歳の地図』における脅迫電話
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